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リレーメッセージ

三重大病院における‘がん’患者さん支援活動

三重大学医学部附属病院 竹田寛院長


 従来‘がん’の治療法といえば手術が主体でしたが、最近では抗がん剤療法、ホルモン療法、放射線治療、ラジオ波治療、免疫療法、遺伝子治療などいろいろな治療法が発達し、治療成績も格段に向上しています。 それに伴い今までは治療することが困難であった進行がんの患者さんも、適切な治療法を組み合わせることにより、かなり延命できるようになり、時には治癒することさえ期待できるほどになりました。 これはまさに医学の発達の恩恵であり、患者さんにとってもご家族にとってもたいへんに喜ばしいことに間違いありません。 と同時に患者さんにとっては、治療が長引くために仕事が制限されて経済的に辛い立場に追い込まれたり、家族の負担が増大するという問題も起こって来ています。 また長期間にわたり再発や転移の不安に怯えながら暮らさねばならないという精神的なストレスにより心の健康を崩す人も少なくありません。 私達医療者にとって‘がん’治療とは、単に患者さんの‘がん’を治すだけではなく、生活面や精神面においても様々な支援をして、患者さんやご家族が健全な生活を送ることができるように協力することも含まれるようになっています。


 そのため本院においては様々な活動を行っていますが、その中で「三重医療安心ネットワーク」と「リボンズ・ハウス」について紹介させていただきます。


 一般に‘がん’の患者さんは大きな病院で治療を受け、その後の治療や経過観察は近くの病院や診療所、介護施設などで行われることが多いと思います。 「三重医療安心ネットワーク」とは、このような様々な医療機関の連携を円滑に行なうためのシステムであり、がん患者さんがどこの医療機関に移っても切れ目のない医療を安心して受けられるようにすることを目指しています。 現在、大学病院と県内5病院(三重中央医療センター、鈴鹿中央総合病院、松阪中央総合病院、済生会松阪総合病院、紀南病院)を、ネットワーク回線を用いた医療連携システムにより連結しています。 患者さんがこれら6病院のどこへ移っても、前の病院での電子カルテやCT、MRIなどの画像をすぐに見ることができ、継続した医療を受けられるようになります。 今後はこの連携システムをさらに拡充して、できるだけ多くの病院、診療所、介護施設などに参加していただき、また‘がん’以外の病気の患者さんにも利用できるようにして行きたいと考えています。


 また最近では、がん患者さんに対し治療や生活上の支援を行う‘がんリボン運動’が盛んに行われています。 がんの種類によりリボンの色が決まっていて、ピンクリボン運動は乳がん、エメラルドグリーンのリボンは肝臓癌の患者さんを支援しています。 NPO法人‘キャンサー・リボンズ’は、特定の‘がん’に偏らない全ての‘がん’の患者さんやご家族に対し、治療や生活の支援をしようとして結成された団体です。 キャンサーとは英語で‘がん’のことで、リボンズとはリボンの複数形です。 リボンを複数にすることにより全てのがんを対象とすることを意味しています。 ここには医療関係者だけでなく様々な職業の人が参加していて、聖路加病院の日野原重明先生やタレントの山田邦子さんらも加わっておられます。 川崎市に本部がありますが、全国各地に「リボンズ・ハウス」を設置しており、本院も1階外来に開設しています。 そこでは、がんに関するいろいろな図書が並べられており、インターネットによる検索もできるようになっています。 また本院のがんセンターや医療福祉支援センターらの職員による医療や生活の相談、カウンセリングなども行われています。 またボランティアの方々に作っていただいていますタオル帽子なども置いてあります。是非気軽にお立ち寄り下さい。


 私ども三重大病院の職員一同、今後も様々な活動を通じてがん患者さんやご家族が少しでも安心して暮らしていただけますように心から念願しております。


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